「働き方改革」8法案 NO!

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「働き方改革」は働かせ方改悪! NO!
「働き方改革」8法案

 安倍政権は2月下旬にも「働き方改革」関連8法案を閣議決定して国会に上程、法案を成立させようとしています。
 これは戦後の労働法制を原理的に大転換させるものです。そして労働基準法、最低賃金法などの「労働者保護法」を解体し、憲法28条の団結権、団体交渉権、団体行動(争議権)の労働三権をなきものにしようとする労働組合解体攻撃でもあります。
 特にそれぞれが真逆の内容を持つ「働き方改革8法案」を一括審議して法案を強行しようとするやり方を絶対に許してはなりません。

中小企業の残業代の割増率引き上げは2023年に先送り。
「残業代ゼロ」だけ施行?!


 「働き方改革」と言いながら、企業側が要請してきた裁量労働制の拡大や、残業代ゼロ法案は2019年4月施行を狙っている一方で、労働組合が求める中小企業の残業代の割増率引き上げは2023年4月に延期するといいます。
 過労死の危険がある長時間労働を強いられているトラックやバスの運転手、勤務医は残業時間の上限規制を5年先に先送りしようとしています。
 連合の幹部は「東京オリンピック成功のために容認する」と言います。なぜオリンピックのために労働者が過労死しなければならないのでしょうか? 
 財界と連合幹部が進める「働き方改革」法案の狙いをみていきましょう。

「働き方改革」関連8法案とは?

 「働き方改革推進法案要綱」は、「時間外労働の上限規制」、「裁量労働制の拡大」、「高度プロフェッショナル制度」、「同一労働同一賃金」などをすべて一つの法律案に一本化し、労働基準法、じん肺法、雇用対策法、労働安全衛生法、労働者派遣法、労働時間等設定改善法、パート法、労働契約法という8本にもわたる法改正を一括して法律案としています。
 それぞれが真逆の内容をもつ法案を一括して「働き方改革」?
 8法案の内容を、以下4点に分けて整理してみます。

(1)過労死を強制する「残業代ゼロ法」


▼過労死しても自己責任

 長時間労働による若者の過労死・過労自殺が相次ぐなかで、安倍はさらに長時間労働を強制するための法制度をつくろうとしています。これが「高度プロフェッショナル制度」の導入です。労働基準法が定めている労働時間・休憩・休日・深夜割増賃金などの規定を適用しない制度。8時間労働制の根幹を揺るがすものです。

 真のねらいは労働時間規制を外して残業代を払わずにただ働きを強制することにあります。この残業代ゼロ法は、「過労死促進法」と批判され、労働者階級の激しい怒り的になってきました。2015年4月の国会提出以来、2年間も審議すらもできなかった法案です。
 今は「高度プロフェッショナル制度」の導入要件を年収1075万円以上の高度専門職とし、本人同意を条件としています。しかし、経団連は年収400万円を主張。法案検討段階から要件緩和の大合唱が起こっており、一旦法案が通れば年収上限はすぐに下げられます。

▼インチキな労働時間の上限規制


 労働基準法36条で協定を結べば残業時間は青天井であり、現在月300時間の協定を結んでいる労使もあります。そこで安倍はこの青天井の残業時間に規制を加えると言い出しました。しかしその上限は100時間未満だというのです。上限規制では、「臨時的な特別な事情がある場合」として、「年720時間(月平均60時間)」の残業を認めています。
 さらにこの範囲内で「一時的に事務量が増加する」いわゆる繁忙期には、2~6カ月平均で休日労働を含んで80 時間、単月で休日労働を含んで100時間までの時間外労働を認めています。
 しかも、休日に出勤して働く時間が上限の範囲外とされていて、「休日労働」の時間を合わせれば、年に960時間という過酷な労働の強制が可能な制度設計になっているのです。
 80時間が過労死ラインと言われているので、それを優に超える規制は、「月100時間の残業はOK」と法文化しお墨付きを与えることになります。
 医者や自動車運転者は、施行が5年先送りになります。

(2)「裁量労働制」の拡大で長時間労働拡大!

 いま一つ労働者を過労死に至らしめているものは、裁量労働制です。この業種をさらに拡大しようというのが今回の労働基準法改悪です。
 裁量労働制とは、1988年に強行された業務遂行方法が大幅に労働者の裁量に委ねられる職種に限って、実労働時間ではなくみなし労働時間でおこなうことを認める制度です。労使協定で8時間と決まれば、実際は10 時間働いても残業代は支払われません。

▼営業職に対象を拡大


 当初はどんな職種にでも適用できるわけではなく、労使協定を結ぶ必要があり、対象労働者は法律が定めた業種にのみ限られてきました。
 ただし、裁量労働制で働く労働者の割合は全体の1.5%と低い。だから、経団連はその対象拡大を合法化しようとしています。
 今回の働き方改革関連法で、さらに「課題解決型提案営業」という職種にまで拡大しようとしています。この「提案営業」とは、過労自殺した電通の女性労働者が担当していた業務です。営業職の多くはこうした提案営業の側面を抱えています。
 これがいったん裁量労働に加えられると、数百万人の営業職に対象が拡大し、飛躍的に対象とされる労働者が増えることになります。
 たえず成果を求められるため、電通社員のように、月100時間をこえる長時間労働になっても自己責任とされ、長時間・サービス残業に拍車をかけるのは必至です。

(3)「多様な就業」の促進は個人請負化


 「多様な就業形態の普及」の最大の狙いは非雇用型の就業です。「非雇用型テレワーク」も含まれます。インターネットを通じた仕事の仲介事業が急速に拡大し、“雇用契約によらない働き方” が増加しています。
 「非雇用型テレワーク」は、仕事内容の一方的な変更やそれに伴う過重労働、不当に低い報酬やその支払い遅延、提案形式で仮納品した著作物の無断転用など、発注者や仲介事業者との間で様々なトラブルに直面しています。雇用対策法の改正によって「多様な就業形態の普及」を「国の施策」の1つとして位置づけるということは、労働者としての権利をはぎとり個人請負化するものであり、労働法制の根底的破壊なのです。絶対に許すことはできません。

(4)「同一労働同一賃金」は労働者の分断


 「働き方改革」一括法案は「同一労働同一賃金」をうたって、労働者派遣法、パート労働者法、労働契約法に「職務内容、成果、意欲、能力または経験などを公正に評価し待遇を決定する」などという条文を入れています。
 しかし、安倍の「同一労働同一賃金」は能力主義の評価制度であり、労働者をバラバラに分断し、団結を破壊するためのものです。この攻撃の核心は「正規か、非正規かといった雇用の形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保する。そして、同一労働同一賃金の実現に踏み込む」(安倍『一億総活躍プラン』)ことにあります。

▼「役割等級制度」で総非正規化


 安倍の「働き方改革」の目玉であり、同一労働同一賃金の究極の形態といえるのが「役割等級制度」です。これまでの年功序列が前提の職能資格制度を完全に廃止し、完全成果給制度です。労働者一人ひとりに企業が求める役割を設定し、その成果に応じて、等級を区別・序列化する等級制度です。

 日本の雇用慣行である年功序列を完全に排除し、勤続年数や年齢、キャリアの有無に関係なく、役割の難易度や企業の期待度に対して成果を出すことが求められます。「役割を果たしていない」と企業側に判断されれば、降格・降給に。それだけでなく、自主退職を迫る制度であることは明らかです。多くの労働者が精神疾患に追いこまれ、自殺者も増えるのは不可避です。
 キヤノンでは、労働組合と会社が年4 回開催する委員会において、個々の労働者の役割等級を決めます。労働組合が資本と一体でこの制度導入の尖兵になっているのです。
 2017年8月にカード会社のクレディセゾンが「役割等級制度」を導入しました。正規と非正規の垣根を無くして全員が同じ基準のもとで5段階の役割に応じて等級をつけられました。キヤノンがそうであるように年何回かの等級を決める審査が行われ、役割に応じた仕事を果たしていないと会社から評価された場合は最高の5 ランクから最低の1 ランクまでズドンと落とされるのがこの制度です。

 非正規を正規雇用にするのではなく、全員を非正規にして競争にたたき込む――これが安倍や経団連の言う「柔軟な働き方改革」の中身なのです。働き方改革法案の成立を阻止しよう。

ユニオンに加盟して共に闘いましょう!

解雇撤回! 非正規職撤廃! 団結して闘おう

 会社に言いなりになる組合でなく、私たち自身の闘う労働組合を甦らせましょう。生きていける賃金をかちとりましょう。
 4月1日から非正規労働者の「無期転換」が始まります。これを逆手にとった雇い止めを許さず、みんなで「無期転換」を申し込みましょう(左チラシ)。ぜひ連絡をください。

 「無期転換」や解雇・パワハラなどの労働相談や意見をお寄せ下さい。

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